筑後川と肝炎のお話
[2012/02/20]
「筑後川と肝炎」についてお話します。
全国的に見て筑後川周辺には肝疾患が多く、以前は日本住血吸虫症という肝硬変を起こす寄生虫が多かったのですが、最近駆除され2000年に終息宣言が出されました。
しかし、寄生虫を駆除しても肝硬変は三分の一しか減少しなかったのです。1989年にC型肝炎ウイルスが発見され、謎の肝疾患の多くがC型肝炎であることが明らかになりました。
C型肝炎とは日本での慢性肝炎の約8割は肝炎ウイルスが原因で、
このうちの約7割がC型肝炎ウイルス、残りの約3割がB型肝炎ウイルスによるものです。
C型肝炎はC型肝炎ウイルスに感染することで起こります。
C型肝炎は非常にゆっくりと進行して、多くは肝硬変、肝細胞癌へと進行していきます。
現在の日本のC型肝炎ウイルス感染者数は約200万人、
世界では1億7千万人(世界人口の3%近く)であると見られています。
血液が主な感染経路で、輸血による感染が以前は多かったのですが、
現在は針刺し事故や刺青、覚醒剤注射の回し打ち等がほとんどです。 性行為や母子感染率は少ないと言われています。
一般的に自覚症状が乏しく、血液検査にて肝障害、黄疸を認めるといった急性肝炎症状を呈する場合もありますが、気づかないことも多いようです。
70%程度が遷延化し持続感染へと移行します。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われています。
なかなか症状を出さないため健康診断などで偶然に見つかるケースが多いようです。
このため自分で気づかないうちに病気が進行していき、症状が出て病院へ行った際は既に肝硬変や
肝臓癌になっていたといった事も珍しくありません。
早期発見、治療が重要です。
それには定期的な健康診断をお勧めします。
まずご自身そして診療所との双方の管理が求められます。
まだ健康診断を受けたことのない方はもちろん気にかかるけどなかなかと思われる方も何なりとご相談下さい。
医療は日々進歩し続けています。
より良い医療と情報を提供して地域の皆さんと共に歩んでいければ幸いです。